天竺めざして、引きこもる。

いまより知的で気楽に生きるために役立つ本を紹介します。

変化に対応できる組織!その6つの原則とは ? −−『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』を読んで考えたこと②−−

f:id:zuczuc:20210401235411j:plain

 

コロナ禍で「変化」への対応力の重要性を強く意識するようになった。

 

昔から「変化のスピードが速くなっている中で、云々~~」と言われつづけてきたが、ここまで実感をもって生活の急激な変化を肌身に感じたことはなかった。

 

この変化にうまく対応できたものと、対応できなかったものとの差はどんどん広がっていくのだと思う。

 

失敗の本質でも変化への適応の重要性が強調されており、

生き残れる組織は、変化に対応して自己変革を行うことのできる組織だとされている。

 

どうやら日本の組織は、昔から変化への対応を苦手としており、変化への対応力を身に着けられれば、圧倒的に優位に立てると思う。

 

この記事では、失敗の本質が語る「自己変革ができる組織であるための6つの原則」を紹介する。

原則1.不均衡の創造

日本軍の失敗の最大の本質は、環境に適応しすぎたことであった。

上手くいきすぎたために、既存の価値観・慣習・手法へ固執してしまった。

以下の記事で「組織を変えるために小さな変化をつくろう」ということを提案したが、変化に対応出来るようになるには変化に慣れる必要がある。常に変化に晒されることで、変化を前提とした制度、習慣、文化、意識を育む必要がある。

sunuse.hatenablog.jp

 

原則2. 自律性の確保

私は会社員であるが、仕事で一番時間がかかるのが、関係各所とのすりあわせである。大概決定権を持つ人は問題についてよく知らないため、一から説明しなければならず、場合によってはちゃぶ台返しされるため、頭痛の種である。

 

スピーディーな対応を実現するには、実働部隊に一定の裁量権を与える必要があるだろう。ただし、権限を与えるだけではやりたい放題になる恐れがある。それについては業績評価の明確化で統制を担保する。

 

失敗の本質では、日本軍は戦闘結果より意図ややる気が評価されたため、業績評価があいまいであったと指摘するが、これは現代の多くの企業にも当てはまると思う。

会社の評価制度を、個人が変えることはできないし、成果をはかるための具体的な方法をつくることも、また難しい。継続して考えていきたい。

 

原則3. 創造的破壊による突出

ときには、突然変異のような突発的な変化が必要である。

そして、その突出を一過性のもので終わらせ、組織の体系に取り込んでいく必要がある。

コロナで、私の会社でも勤務制度やリモートワーク用のIT環境など様々な影響があった。いまはあくまで、臨時対応という位置づけだが、この変化で得られた「創造的破壊」をいかに日常化していくか考えていきたい。

 

原則4. 異端・偶然との共存

不均衡や突発的な変化を生み出すためには、異端との共存や、偶然的に発見されたモノを組織に取りこむ仕掛けや慣行が必要だ。

 

みんなと同じであることを横並びを意識してしまうが、そのせいで自分のオリジナルな発見や経験を見過ごしていないだろうか。自分しかしらない知識、出来事について周囲に発信するチャンスを積極的に見つけていきたい。また、周囲から浮いている人、煙たがられている人がいたら、その人の意見や想いを聞いてみるのも面白いかもしれない。

 

原則5. 知識の淘汰と蓄積

日本軍は個々の戦闘結果を客観的に評価し、それらを次の戦闘への知識として蓄積することが苦手であったと本書は指摘する。また、戦略的思考は日々のオープンな議論や体験の中で蓄積される、という。

 

皆が意見を言いやすい風通しの良さをつくることが大事と思うが、雰囲気の良さだけに頼ってしまうと少々深刻な課題の時に皆だんまりになってしまう。

 

これについて、私が実験しているのは、あえて全員が反対するだろう提案を会議でぶちあげることである。すると、普段奥ゆかしくてあまり発言しない人も、「ちょっとそれは、、、」と言う調子で意見をくれる。

そういう感じで、発言しないと、ヤバいことになるな、という状況を恒常的に発生させることで、闊達な議論を行う習慣がつくれるのではないかと狙っている。私の評価はダダ下がりだけど。。。

 

原則6. 統合的価値の共有

皆で共有するビジョンが無いと、各々の動きがバラバラとなり、全体としての整合性がとれない。

 

組織内の構成要素の自律性を高めるとともに、全体組織がいかなる方向に進むべきかを全員に理解させなければならない。

その共通理解があれば、各構成要素間でコンフリクトが起こっても、共通のビジョンを軸に調整することが可能となる。

 

日本の社会では、対立を起こさないことを大切にするが、いざ対立が起こったときに、対立の解消に向けて互いに協調するために、基準となる考え方をあらかじめ用意しておくことが大切だと考える。

 

まとめ

変化に対応できる組織であるための6つの原則を紹介した。

具体的な行動を起こすには、さらに考えていかなくてはいけないし、今日明日に成果がでるものでもない。

けれども、腐らずコツコツ、前向きに頑張っていきたい。