嫌な会社を改造するには? −− 『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』を読んで考えたこと①−−
「まったく、ウチの会社は!」
働いていると、多くの人が感じることと思う。
「でも、自分ではどうしようもないし我慢するしかないか・・・、でもやっぱりなんかモヤモヤする・・・」
この感じが、これから数十年続くと思うと、なかなかしんどい。
『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』は、 旧日本軍が太平洋戦争で犯した数々の失敗を分析し、現代の組織一般への教訓を見出そうとした本である。
今回は本書を読んだうえで私なりに考えた、
「組織を変えるための個人ができそうなアプローチ」について書く。
ただし、まだ考え方までで、具体策には落とせていない。後日具体策について記事を書けたらと考えている。
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最も根本的な問題点
本書では、日本軍の組織上の問題点について、12個の問題点を指摘している。そのうち、私が最も根本的な問題と感じたのは以下の2点だ。
1.成果よりも集団の和を重視する文化
1.の「和」の重視はについて。例えば、部署Aと別の部署Bの間で意見が対立し、結論がまとまらないというときはどうするか?
最後は社長がビジネス上最も合理的な意見を採用する、とはならず、何とか両者で合意に至るよう、互いに妥協に妥協を重ねたあげく、中身が薄くなった半端な結論になることがないだろうか。
どちらが成果があがるかよりも、どうすれば丸く収まるかが重視され、非合理的な選択がされてしまう。
2.環境変化が小さい
2.の「環境変化が小さい」は、1.の文化の強化に寄与する。ビジネス環境の変化が小さい場合、確立された手法・制度をいかに効率よく運用することが重要になる。
そのため、固定の人が・固定の業務を継続して取り組むことになり人の流動性が小さくなる。ずっと同じ人同士で仕事をし続けなくてはいけないわけで「和」の重要度が増していく。
また、変化が少ないということは変化への耐性をさげることにもなる。既存の考え方や制度が組織文化に染み込んでしまい、既存の手法が通用しないような環境変化が起こったときに、これまでの方法を見直すのが困難になる。
1.と2.から発生する問題と、1.と2.相互の関係性を整理すると下図のようになると私は考える。
個人ができるアプローチの考え方
組織が変わるためには恒常的な環境変化を作為的に与えるしかないと考える。変化が発生すれば、対応のために、コミュニケーションの機会が増え、普段かかわりの薄い人々が交わる機会も生まれる。
そのチャンスをとらえ、目の前の問題だけでなく、日頃抱えている組織の問題についても取り組むように働きかける。まずは成功しやすい小さな問題を扱うのが良いだろう。
一度成功体験を得れば、別の問題へ取り組むモチベーションが芽生え、それを繰り返していくことにより新たな組織文化を形成できるのではないだろうか。
最終的には、作為的に変化を与えなくても、組織自体が自律的に変化できるようになるのが理想だ。
個人がつくる変化は、ほんとにささいなことでもよいのではないだろうか。
ただし、飲み会の開催やイベントを開くなどのように、日常の場とは別の場に設けるのはあまり効果的でないように感じる。
経験上、コミュニケーションのハードルを下げるという効果はあるが、業務への変化につなげていくにはなかなか至らない。なので、あくまで職場の生活の中に変化を作るというアプローチが良いと思う。